「 世 相 」
2017-10-03




世の中がますますつまらなくなってきて
見ざる言わざる聞かざるの三つ巴になりはてて
冷たい雨が山の木々を無遠慮に濡らして
涸れ沢から正体のみえない瀬音が流れて
山鳥ののんきな鳴き声がわざとらしくて
胸の奥の茨がでたらめに暴れ回って
そんな一億三千万の猿が揃いにそろって
目先の秋の実りの到来をささやかな楽しみにして
それがどうも薄皮一枚張りぼてのようだとわかって
耳滌がんと非難囂々抗議殺到甲論乙駁口角泡飛ばして
だが結局は飼い慣らされた管理社会の掟には逆らえなくて
米騒動を起こす元気も意地も根っから失って
だんだんわけがわからなくなって
あることないこと吹聴しあって
えげつない自己弁護に腐り果て
弱者非力とみれば江戸の仇とばかりこけにして
てんでに講釈を垂れまくって
意味もなく吠えまくって
見境もなく咬みあって
ますます見ざる言わざる聞かざるのさらに厚顔に跋扈して
虚栄の市ばかりが悲しく賑わって
かのレヴィアタンの涎をば総身浴びて
その微温についつい心をゆるして
いつのまに怪しいところに連れ込まれて


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