「 うぐいす ( 春告鳥)」
2017-05-04




  
  
  ときおり風向き次第で聞こえてくる
  うまいやつ へたなやつ それぞれに
  春籠もる茂みのなか声朗々と読経する
  小さなやつ


  サラベイと呼び名を憶えたのはおれの青春
  眼にとまった譜面
  地を追われた放浪者が友とした啼き声に
  こころが確かに触れた


  孤独な叫びが清しく響く
  風が姿を現し光が瞬く
  そのつかのまが
  今ぞとばかりにこだまする


  無駄な生き方などありはしない
  声を限りに告げる
  大切なものを
  諭し慰めてくれるかのように


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